養鶏農家を目指す方へ

2020年7月20日 更新

本ページの目的

まず、このページを作成した目的は、純粋に自然卵養鶏法に興味がある方に情報共有できればという思いからです。祖父である中島正もまた、 “全国自然養鶏会” や “自然卵ネットワーク” を発足し、情報や技術を共有したそうです。

また、近頃は当養鶏場へ見学希望の方や、技術指導をお願いする方が多く、そうした方々にもお役に立てればと思っております。

なお、当養鶏場においても、日々試行錯誤の連続です。そのため、ここへ記載されていることが必ずしも正しいとは思わないで下さい。全ては一例として捉えて頂くようお願い致します。そして、ここで書かれていることが、皆様の自然卵養鶏に役立つことを切に願っております。


このページの前提知識

本ページで説明する内容には、予備知識として中島正(なかしま ただし)が書き記した「増補版 自然卵養鶏法」を読んでいることが好ましいです。自然卵養鶏法では、大規模養鶏が行う飼育方法はせず、自然循環型の飼い方を前提としています。その詳しいやり方や取り組み方をど素人であった私ですら、理解して実践できるよう書かれています。これを読まずして養鶏農家を生業とすることは難しいと言っても過言ではありません。

そのため、自然卵養鶏法の本は読まれていることを前提に、話を進めて参ります。

本ページ作成者について

全くの畑違いであるIT系の一般企業に勤めていた元サラリーマン、のびのび養鶏場代表自ら書いております。正直サラリーマンからの脱却を毎日毎日毎日考え、そして辿り着いた道がこの養鶏農家です。そのお蔭で今や心が晴れやかです。

どのような人間かもっと詳しく気になる方は、このページをご参照下さい。
https://nobinobi.online/orner/


目次
  ・そもそも養鶏農家とは
  ・養鶏農家に必要な考え方
  ・養鶏農家に必要なモノ
  ・毎日の流れ
  ・鶏舎について


そもそも養鶏農家とは

わたしの考える養鶏農家は、養鶏業を本職とし、農家家業は副職という位置づけです。つまり、日々の生活の基盤は養鶏であり、農業で得た作物は自給用、又は鶏のエサ用ということです。

作物を鶏のエサと考えると、それも養鶏業の一つとして捉えられますが、ここでは自給用のみを念頭に考えます。勿論、余剰分は鶏のエサに回したり、ご近所へ配ったり、はたまた生活費に当てるのも手だと思います。

人によっては、農業を主として、養鶏をオマケと考える方もいらっしゃるでしょう。
それも勿論アリです。ここではあくまでも、養鶏業を本職、農業を副職という考えで話を進めていきます。


養鶏農家に必要な考え方

養鶏農家として生活していく上で、必要だと日々感じていることがあります。それは、安定した賃金を求めるのではなく、 安定した日々の生活を求めるということです。一見矛盾した内容のようですが、この考え方は相反する考え方です。

安定した賃金を求める方は、一般企業や公務員にお勤めになられることをお勧め致します。毎週の休日に趣味で鶏や農業を家庭菜園レベルで行い、満足を得る方が気持ちの面で豊かだと思います。元サラリーマンとして、周りのサラリーマンを見てきてそう感じます。

そもそも、安定した賃金とはいったいいくらでしょうか?
年間400万ですか?それとも600万?1000万?1億?
あればあるだけ嬉しいでしょうが、上を見だしたらキリがありません。そして上ばかりを見て目指し続けたら、絶対にどこかでその歪が生じます。歪が体調なのか家庭環境なのか、それは分かりません。ですが、わたしの短い人生経験ですら、自分含めた色々な人たちを見てきて、その歪を感じずにはいられません。

では逆に安定した日々の生活とは何か。お金は社会生活を営む上で必要な最低限度の額のみ得て、日々の生活は自給自足を目指して安定した生活を送れるようにすることです。

ここ日本で暮らすことを前提とします。日本で必要な社会保障や税金、光熱費など、絶対的に支払わなければならないものが必ず存在します。そうした存在のために、必要最低限の現金収入を得る必要が誰にでもあります。しかし、それらの支払い以外の生きる上で必要な「食料」については、自分で畑をやり、自分のための野菜や穀物を自給していけば、安定した日々の生活を送ることは可能です。その際、養鶏と農業のウェイトのバランスは人によって異なるかもしれません。わたし個人的な経験では、養鶏にウェイトを置いた方が、日々の安定した生活は送りやすいように感じています。

そもそも、上記のようなことを言うと、娯楽や趣味へのお金はどう捻出するのか、と怒り狂う方もいるかもしれません。えぇ、わたしも趣味が色々ありますからよく分かります。
でも、モノに溢れていない環境では、無いなら無いなりの生活水準に落ち着きますから大丈夫です。どうしてもモノが欲しければ、インターネット代を払って下さい。地方でもネット通販はちゃんと届きます。

話が少し逸れましたが、 安定した賃金を求めず、安定した日々の生活を求めるように心掛けてみてください。その方が、健全な養鶏業を営むことに繋がります。

人間は生物には何の価値もないお金という存在に、自分の多くの時間を費やしています。
お金という存在は、人と人との争い事を丸く収めることができ、素晴らしい概念の一つではあると思います。しかし、あまりのめり込みすぎないことが、安定した日々の生活に繋がっていきます。


養鶏農家に必要なモノ

物理的に必要なモノは、以下に記載するものでほぼ全てです。
・にわとり(初生雛から飼うこと推奨)
 ┗━ 当養鶏場では生まれたその日のヒヨコを「後藤孵卵場」で購入
・鶏舎(土地込)
 ┗━ 現代は空き家や余った土地が、各地方自治体に問い合わせると存在する。
・にわとりのエサ
 ┗━ 自家配合飼料を作り、市販のエサは一切使用しない
・プラ舟(エサを混ぜるため)
・シャベル(同上)
・包丁(緑草切ったりなど色々)
 ┗━ 昔は裁断機というのが存在したが、現在は入手困難
・バケツ(エサを運んだり卵の回収に必要)
・薪ストーブ(ホームセンターで購入可)
・一斗缶(ちりとりや簡易かまどを自作できる)
・軍手
・長靴
・作業服(わたしの場合はツナギが楽でお気に入り)
・工具類一式(鶏舎の修繕で必要)
・手鎌と草刈り機(手鎌でカバー仕切れない時に草刈機が必要)
・卵トレイ(安定した保管ができる)
 ┗━ 日本モウルド工業 で卵パックと一緒に購入している
・卵パックor新聞紙(卵を販売する時に必要な場面がある)
・釣り銭(お客さんのお釣り用)
・自給用に必要な分の田畑
・野菜の固定種の種(自家採種で翌年は購入いらず)

今の所ざっと思いつくのはこんなところです。他にも必要なモノがあれば、その都度追記します。また、ここに記したことを全てと盲信せず、各自でどんどんアレンジを加えて必要なモノは順次揃えてください。その方が少しでも養鶏以外の時間を作ることができます。


毎日の流れ

サラリーマンとして、どこかの会社へ従事していれば、土日祝日、夏季休暇、年末年始は休みというパターンが多いと思います。しかし、養鶏農家にこのような休日や連休は皆無です。なぜなら、生き物を飼うということは、それだけ責任持って面倒を見なければならないためです。

ただし、休みらしい休みが無い代わりに、就労時間は自分で自由に決められます。好きなように1日の時間を決められます。言わば “フレックスタイム制” です。そのため、実質就労時間だけ見れば、とても少ない日もあれば、課題を先送りした分、多く働かなければならない日もあります。ちなみに、私はこの働き方がとても気に入っています。

以下は1日の大まかな流れです。

6時:起床と軽めの朝食
6時半~7時:朝の餌やり開始
9時頃:餌やり終了
9時頃~10時:遅めのしっかりと朝食
10時~12時:商品発送準備やエサ用の緑草採り
12時~13時:昼食
13時~15時:家での事務作業や自家配合飼料作り
15時:夕方の餌やり開始
16時頃:餌やり終了
16時頃~:足りない分の自家配合飼料作りや、鶏舎の見回りなど
18時頃:帰宅


鶏舎について

鶏舎の建て方などは、本にも記載されておりますが、別のページなどにして今後どこかに記載しておきます。
ただし、絶対に気をつけなければならない点だけ、ここでは記します。
絶対にしなければならないことは以下です。
・常に新鮮な空気が通るようにすること
・害獣対策を施すこと

まず、常に新鮮な空気が通るようにするには、壁を作らず、4面網のみの開放型にするのが手っ取り早いです。自作した鶏舎は、単管パイプで4面網のみの作りにしています。網を貼るのに、板を横にはわす程度の工夫はしますが、住宅のように4面壁で覆われているような状態にはしません。
にわとりが寒くないかと思うと思いますが、祖父はそれで問題なかったそうですし、何より羽毛布団を常に身につけている彼らにとったら、寒さよりも暑さの方が心配するべき点です。そのため、凍死するほどの気温地域でない限りは、壁を作らず網のみで鶏舎を囲うことをお勧めします。

次に、害獣対策です。これは絶対に必須です。わたしも養鶏を始めた当初、害獣対策を侮ったせいでたった一夜で120羽がたった2匹のキツネに殺されました。彼らは一度に殺した後、何羽か咥えて巣穴に持っていき、また後から戻って殺した死骸を捕りに戻ってくるのです。ちなみに、殺した死骸はそのままであったり、穴に埋めて隠したりします。
そのため、被害は甚大です。それも本当にたまごを産む直前のにわとりを襲います。これは本当に辛い出来事です。ちなみにこの時は、またヒヨコから育て直しでした。
こうしたことを避けるため、鶏舎の周りには瓦やトタン、コンクリなどで40cmは掘って外周を掘られても中に入れないようにしてください。キツネは余裕で鶏舎の周りを掘って中に入り込みます。わたしがキツネにやられた時も、鶏舎の縁を掘って中に入られやられました。そのため、必ずこの対策はしなければ痛い目を見ます。
あと害獣対策にもう一つ良い方法が番犬を飼うことです。当養鶏場では2匹犬を外で飼っています。そのお陰で、キツネのみならず、鹿や猿が来た時には物凄い勢いで吠えて威嚇してくれます。真夜中だろうと警戒してくれるので、本当に良きパートナーです。
ちなみに、キツネは夕方から朝方に掛けて鶏舎周りをうろつきます。彼らも生きるためににわとりを襲うため、仕方のないことです。しかし、人間側も生きるためににわとりを飼っていますし、目の前で無残ににわとりの命を奪われるのも辛いものです。なので、せめてキツネなどに大切なにわとりが襲われないよう十分に気を付けた鶏舎設計をしてください。

“養鶏農家を目指す方へ” への2件の返信

  1. これから田舎生活を始めようとしています。
    農の柱は日本蜜蜂の養蜂と平飼いで養鶏、
    趣味の延長線での自然栽培での自給自足です。
    自然栽培ですから養鶏から出る鶏糞は必要がないわけで、
    平飼いでの養鶏だと下は当然土ですから土の循環能力というか再生能力で
    産業廃棄物である鶏糞をを発生させないことが出来るのかどうか
    そのあたりが少し心配でもあります。

    1. コメントありがとうございます。
      回答の前提条件として、当養鶏場で鶏糞は産業廃棄物ではなく、自然の循環物の一つと考えております。
      むしろ、自然な餌を与えて生み出された良質な天然肥料です。

      その上で、当養鶏場と同様な土の上で飼う平飼い(※1)の場合、わざわざ産業廃棄物として収集依頼するようなことは一切ございません。
      これは仰るとおり、鶏糞が土に変化するためです。
      ただし、土の循環能力よりも、にわとりの力が大きく働いています。
      にわとりが地面を突き、足で掻き回し、砂浴びをするため掘る、そうした行動が鶏糞を細かくして乾燥させ、微生物の分解を手助けして土に変化させます。
      そもそも、自然卵養鶏法で育てる羽数で、鶏糞に困るほどの量は出ません(※2)。

      鶏糞はにわとりを飼う以上、絶対に生み出される副産物です。
      しかし、この副産物は土へ良い影響を与えます。
      当養鶏場の場合、緑草を豊富に与えるため、にわとりは酸性体質でなくアルカリ体質になります。
      そのにわとりが出した鶏糞を育成中の野菜に与えても、全く痛めることなく、むしろ逞しく育っていきます。

      また、にわとりは常に緑草を渇望します。
      その緑草を確保するため、空いた土地があれば、鶏舎内にできた鶏糞(土)を撒くと、すぐに緑草畑ができあがります。
      そのように、鶏糞を産業廃棄物と考えず、有機栽培にはなるものの、有効活用できる天然肥料と捉えてみてはいかがでしょうか。

      ※1:土に触れないエンリッチドケージの飼い方で平飼いと言う養鶏場もあります。
      ※2:発酵試料を食べさせた場合、にわとりの消化率はざっくり8割ほどです。一日の餌の量が1羽当り130g程と過程すれば、その内26gが鶏糞に変化します。100羽いれば、一日に2.6kgの鶏糞が発生する計算です。数字で見ると量がありそうですが、鶏舎内にこれがあってもすごく微々たるものです。

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